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「…しゅ、出立の…ご挨拶ではないかと」

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「…しゅ、出立の…ご挨拶ではないかと」

しゅ、出立のご挨拶ではないかと」

 

歯切れ悪く答えた。

 

「されど、父上様と共に上洛なされる母上様はともかく、お祖母様は城に残られるのであろう?」

 

それは」

 

「そなた、昨夜 母上様の座所へ呼ばれたのであろう? 何か申されていなかったのですか?」

 

お菜津は「えっ」となり、目を白黒させながら、気まずそうに視線を膝の上に落とした。にもな訳知り顔のお菜津に、胡蝶はしげな表情を向けていると

 

──胡蝶、入りますよ」

 

入側の横から黒い影が伸び、開け放たれた御居間の入口の前に、濃姫と報春院が姿を現した。

 

お菜津はサッと脇に退いて、深々と平伏する。【脫髮先兆】造成頭髮稀疏5大原因 & 生髮方法推薦! -

 

胡蝶はすぐに笑顔を作って

 

「母上様、お祖母様、ようおで下さいました。ご一緒におしとは実にお珍しい」

 

と挨拶を述べるや否や、濃姫と報春院は速やかに入室して

 

──閉めよ」

 

お菜津や、従えてきた古沍に命じて、開け放たれていた戸襖や障子を、全て閉じさせた。

 

急なことに胡蝶は一驚する。

薄暗くなった部屋の中で、胡蝶がおろおろと母や祖母の姿を見つめていると

 

「胡蝶、そちらへ控えよ」

 

濃姫はチラと部屋の上座に目をやった。

 

胡蝶は戸惑いながらも「はい」とづくと、言われた通り上座に控え直し、

 

濃姫と報春院は、黙ってその御前に膝を折った。

 

 

鉛のように冷たく重苦しい空気が、数秒、対座する三人の間に流れた。

 

 

胡蝶は上目遣いになりながら、両者の顔を交互に眺めていると

 

「胡蝶──

 

ふいに濃姫が口火を切った。

 

胡蝶は反射的に背筋を伸ばし「はい」と、軽く頷いた。

 

「そなたに、大事な話があって参りました」

 

「大事な話?」

 

「今から申すことは、私と、齋に古沍。そして、お菜津のみが知っている話じゃ」

 

濃姫は背後の障子に映る、お菜津の影をして言った。

 

「上様にもお伝えしていない、我らのみが知っていること故、決して他言せぬように」

 

「父上様も知らぬこと……。いったい、どのようなお話にございますか?」

 

胡蝶がくと、報春院は神妙な面持ちになって

 

「そなたには、か受け入れ難い話やも知れぬ故、覚悟してお聞きなされ」

 

と、どこか言いめるような語調で告げた。

 

胡蝶は眉間に皺を刻むと、静かに濃姫の方へ顔を向ける。

 

いったい、どのような?」

 

濃姫は報春院と顔を見合わせると、深くひと息、意を決したように告げた。

 

「胡蝶。そなたにはこれより───

 

 

 

 

 

 

四つ半刻(午前11時頃)

 

織田信長は、上洛及び、中国戦線へくべく安土城を発った。

 

  戦陣の用意をして待機。命令があり次第出陣せよ 

 

との信長の命令があった為、城は本丸の御留守居衆と、二の丸の御番衆に任され、

 

信長本人は、森兄弟を始めとする御小姓たち二、三十名を従えただけの出立であった。

蘭丸が胡蝶に話したように、実に身軽な出発となった訳だが、

 

小姓衆の周囲には警固の武士たちも従っており、それらを含めると行列は百名近かった。

 

そんな行列の中程に、濃姫を乗せた輿が密やかに存在した。

 

信長の正室にふさわしい

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